「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」
伝説のヒッピーバンド「グレイトフル・デッド」✕マーケティング
ヒット曲もないし、スターもいない。
それなのにアメリカで結成から半世紀たっても人気がある。
それが「グレイトフル・デッド」というバンドらしい。
そんなグレイトフル・デッドがいかにして人気を集めていったのかを、マーケティングの視点から考察しているのがこの本です。
「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ (日経ビジネス人文庫)」
なぜ読もうと思ったかというと、私も使用した経験のあるHubspotというMAツールベンダーの共同創業者の一人が執筆されているからです。Hubspotはインバウンドマーケティングを実施するために有効なツールで、MAの他にCRMやCMSなどもあります。集客から成約(そしてその先のアップセルとクロスセルなども含む)までを一気通貫で行えるツールです。機能面はもとより、会社の思想自体にも非常に興味があったので、ずっと読んでみたい本の一つでした。これまで書店で見かけることがほぼなかったのですが、たまたま図書館で見つけたので読んでみることにしたのでした。
当時の潮流から外れた戦略
グレイトフル・デッドは、当時の多くのミュージシャンとは違ったスタイルでした。まず、アルバムがメイン収益の時代に、ライブをメインの収益としていたそうです。ライブチケットは代理店を挟まずに直接販売していました。ライブは録音OKでした。他にも色々と紹介されています。
ただ、全ては現在の多くの企業のマーケティング活動に結び付けられます。ビジネスモデルの変革や、顧客データの保持、フリーミアムコンテンツなど、現在のWeb中心のマーケティングでは基本になりつつあることをグレイトフル・デッドはずっと実施していたのです。
書籍でも実際の企業の成長(DropboxやAmazonなど)とグレイトフル・デッドのマーケティング手法を絡めて紹介されているので、とても参考になります。
パッケージから考えられないほど、マーケティングについて述べられています。
かなり著者のグレイトフル・デッドへの強い愛を感じずにはいられない内容ですが、ビジネス書としても非常に面白いと思います。昔のバンドと最近の企業の成長の過程をともに抽象化して共通点を洗い出されているので、非常に勉強にもなりました。