真山仁 「バラ色の未来」
久しぶりに真山仁の小説を読んだ
最後に読んだのはハゲタカシリーズのスピンオフ版であるハゲタカ4・5 スパイラル (講談社文庫)が最後だった気がする。単行本の新作が出ているのは知っていたが、文庫本サイズでほしかったので待っていたら今年の8月にすでに出ていた。
真山仁といえばドラマ化されたハゲタカシリーズが有名だが、メディア関係やエネルギー関係など、金融以外にも多くの小説を出している。
日本にカジノは必要か?
今回の小説は「カジノ」に関するものである。日本へのカジノ誘致をめぐり、カジノの運営企業、行政、メディア、地域企業など、夢と利権が入り乱れた物語である。
カジノ誘致にあたって、ギャンブル依存症の懸念はないのか?、運営企業はどこにするか?、地域はどこにするか?、建設はどの企業に発注するか?、などを巡って多数の人間の利害が対立し、「カネ」を中心とした裏工作が描かれている。
実世界でもこんなことがあるのだろうかと疑問に思った。事実は小説より奇なりというほどであるから、現実世界のほうがえげつないのかもしれない。
我々の目にする情報は正しいのか?
そもそも、我々が目にする情報は殆どがメディアなどが収集加工した2次情報、3次情報であると思う。同じ事象でも報道機関によって味方や立場が違い、A紙では政権寄りだがB紙は反政権であるなど、事実はありのままに伝えられることは少ないのではないかと思う。もちろんありのままに伝えたところで読み手が理解しきれないというのはある。
だからこそ、普段情報に接する際には、裏ではどんなことが起こっているのか考える必要があるかもしれない。特に1つの媒体の情報を鵜呑みにするのではなく、複数の情報媒体を比較検討することが重要だと感じた。
もしカジノが日本にできたら「バラ色の未来」は到来するのか?
日本にカジノができる前に、是非皆さんに一度読んでもらいたい一冊である。